私がヒールをぬいだ時
親子丼はホントに美味しかった


『お母ちゃん抜いたな、丸ちゃん』と私は驚きながら言った


『やろ?あ、帰りに焼きおにぎり持って帰ってきてってお父ちゃんから電話あったわ。忘れんといてな』


『お父ちゃん、食べる時間早過ぎるから寝るまえに食べるやろ?あれあかんで』


『だからいつも検査で引っ掛かるねん。でも月一で診てもらうんは、私も安心なんやけどな…去年、春彦おじちゃん放置してたら、結局人工透析なってもてんで?あれはキツイわ』


『お父ちゃんも食生活見直す必要あんな〜』


『姉ちゃんも気をつけてや。不規則な生活なんやから…私なんか店してて、倒れたら困るんで年に一度夫婦で人間ドックはいってるねんで』


『ほんまかいな〜そら初耳や!私は子宮ガン検査で目一杯やなあ…一度沙織ちゃんの病院で検査受けてこよかな…』


『お姉さんも身体が資本なんやから、行っといたほうがええですよ』とくにっちも言う


映画の事終わって祭済んだら人間ドック、いってみるか


まあそれまではビールたくさん飲んでおこう


私達が食べてると、美容室の山本さんが入ってきた


『タカ、いらっしゃい!』とくにっちが声をかけた


『今日は一人やねん、カウンターでええよ』と康子ちゃんの隣に座った


『お久しぶりです。そろそろ行きたいとおもてたんです』と康子ちゃんは笑った


『やっちゃん、ボサボサやな。週末おいでや』


『私のせいなんですよ。二日徹夜させちゃって』


『ひかるさん、今仕事忙しいんやね』


『もう今週は特に』


『また来て下さいよ』


生ビールを飲みながら山本さんは笑って言った


康子ちゃんと、山本さんは楽しそうに話していた

ちょっとすましてる感じの山本さんだが、彼女の前では満面の笑顔である

私は丸美を呼んで聞いてみた


『あの二人ええ感じなんか?』


『タカさんがな、好きみたいやで』と丸美が小声で答えた


そうなんだ。だから山本さんすぐに康子ちゃんの隣座ったんだね
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