私がヒールをぬいだ時
それよりも新伍である…みんなの前で…


『青木さんと姉ちゃんつきおうとるなんて知らんかったわ!』と丸美が驚いている


『ひかるちゃんが彼氏連れてくるやなんて、なあお父ちゃん』


『ほんまや、気に入ったわ!これからもちょくちょく遊びに来てや』


『なんか…すんません。ひかるとは同級生やったんです…今は仕事大事な時やから、結婚は落ち着いてからとおもてます…』


『来年は私も忙しい年になるし…まあゆっくり考えてこかっていつも言うてるねん』


『ひかるの仕事の環境が調いしだい結婚進めるんで許してください』


新伍は皆に頭を下げた


ドキドキして私は彼を見ていた


私を守ってくれるのはこの人しかいないと思った

私は初めて新伍を仕事部屋に上げた


『ここでいつも仕事してるんか…』


『そうやで、デスクに向かって漫画描いてるねん』


新伍は私を抱きしめた


『あの男と恋愛して、愛し合った事は事実や。でもそれが終わったのも事実や。これからは俺らの人生始まる、お互い頑張っていこうや、なあ?』


『うん、皆の前で宣言してくれてありがとう…私は幸せもんや…』


『上手い事は言われへんけど…お前守るだけや』


インクの匂いのする部屋に土の匂いが加わった


でもそれは臭くなくて、むしろ未来の匂いでもあった


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