おしゃべりな百合の花
Wed.

 翌朝、龍一がいつものように、美百合が働く喫茶店へ行くと、今日は店のオーナーの、40代半ばの女性が、龍一の目の前に三点セットを並べた。


 きっと気まずくて、美百合が龍一の接客は倦厭したのだろうと、大して気にも留めず、新聞を手に取り、朝食が運ばれて来るのを、いつものように記事を読みながら待った。


 それとなく、厨房の方や、店内を見回すも、美百合の姿は確認できず、ようやく龍一は、美百合が本日不在だと気付く。


 またしても、オーナーがモーニングを運んで来たので、堪り兼ねて龍一は尋ねた。


「今日、彼女休み?」


 すると、オーナーは顔を曇らせた。


 龍一の脳裏に、昨日感じた不安が蘇る。


 オーナーは、龍一が目にしている新聞の三面記事を指差して、


「あの子、これの次の日は、いっつも休むのよ。」


 と、仕方のないことのように言い、溜め息をついた。


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