ハフピスライン
ハーフの価値
錆びついた扉が開く音が聞こえた。

「ほらよ」

誰かに持ち上げられていたのか、私は微かな意識の中でどこかに放り投げられた。
地面に叩きつけられたが声は上げられなかった。まだ体が麻痺していて痛覚がないのだろう。

そうして再度、錆びた扉の音がして、今度は鍵をかけたような音も聞こえた。

何が起こったのか全く分からないけど、どうやら私は捕まったらしい。推測ではあるが今は牢獄に入れられているのか。

まだ覚醒していない意識では使えるのは聴覚と嗅覚だけ。
嗅覚でははっきり言ってカオスワルドの地下よりも酷い匂いがする。

「新しい“犠牲者”か」

一人ごとのように誰かが言った。それで私は目を覚ませた。

ゆっくりと開かれる眼。目の前にはうす暗い天井が見える。

声の方向からは同じ檻の中、小さくうずくまる女のハーフが私を見ていた。

ゆっくりだけど体は動かせた。どうやら体の麻痺が抜けてきたのだろう。だから同じ時に受けた睡眠も切れたのだろう。
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表紙・目次

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