依存～愛しいキミの手～

新しい命

2006年のクリスマス近くの日曜日、従業員の子やその彼女・奥さんたちを誘いうちでクリスマスパーティーを開いた。


その時、美香がお酒に手をつけないので不思議に思った。


｢どうしたの?体調悪い?」


そう聞くと、美香と美香に寄り添っていた優が照れくさそうに、お腹に小さな命が宿ったと話してくれた。


私は感激した。圭介も同じで、みんなで万歳三唱して祝った。


その辺で雑魚寝している従業員たちの子を跨ぎながら片付けをしていると、優と圭介がダイニングテーブルでタバコを吸いながら話していた。


｢お前これからどうすんの?」


圭介が灰皿を真ん中に置き言った。


｢子供いるから、いつまでも現役ってワケにはいかないな…」


優が灰皿に灰を落とし真剣な顔をして言う。


圭介に私と美香が呼ばれた。


美香が近くに座ったので、2人はタバコを消し、圭介が口を開いた。


｢優は教職に戻るつもりなのか?」


｢…そう考えたけど、正直悩んでる」


｢美香は、どうしてほしい?」


圭介が美香の目を真剣に見つめて言った。


｢…今まで自分を犠牲にしてひろちゃんのこと育ててきたんだから、私とお腹の子のためにまたやりたいことを犠牲にはしてほしくない｣


美香が優の顔を優しく見つめて言った。
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