雪の種
◇第2章◇ 水やり




――雨の匂いがする。



じめじめしてる、嫌な匂い。



スウェットのまま窓の外を見た。





美しい紫陽花?



そんな綺麗なものなんかじゃないのよ。




黒い雲と空。



紫陽花なんて咲いていない。



あの淡い紫色ではなく灰色なんて中途半端な色じゃなく、絵の具で塗ったような真っ黒な雲、空。


雨が強いせいか、白い帯のように見える。







< 11 / 97 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop