ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~
或る心象風景 Ⅳ

 

――運命って何?



以前、彼女に訊かれた。



彼女はまだ幼くて

難しいことを理解出来ぬから

"永遠の約束"だと教えた。



――あたしの運命は?



自分の大事な者が苦しまないよう

全てを犠牲にしても彼らを救済すること。



すると彼女は深く考え込み

力強く頷いた。



私は狡い。




彼女の一途な強さに

私は勝手な未来を託し

己の弱さを隠蔽した。



私が作り出した

拗れた運命のERRORの修復を

彼女1人に押しつけた。



私の浅慮が――

彼女に闇を背負わせた。



それでも私は言い続ける。



闇に墜ちるな、

光に生きろ――と。



それは私の願い。



見守ることが

私の運命――

 




< 222 / 974 >

この作品をシェア

pagetop