――此の世界が嫌いだ。


 
何処までも傲慢で

何処までも虚構で

何処までも縹渺とした



…倦(う)んだ世界。



絶望的に歪められた世界。



此の世界に、真実はない。

此の世界に、意味はない。



在るのは唯…


思い上がりにも似た虚飾だけ。




自分は――

生きて居るのだろうか




自分は――

死んで居るのだろうか




彷徨する心を捉えたのは

……彼(か)の者の囁き。


 
――真紅の薔薇を咲かせよう。
 



華やかな刹那の薔薇を。

陶酔する幻惑の芳香を。



もし――

荒んだ世界に薔薇が咲くならば。



仮令(たとえ)ひとときでも、

艶やかに息づく真紅の薔薇が、

再びこの手に入るのならば。



然(しか)れど――

其れは原罪。



人間如きが手出しはならぬ

絶対不可侵の領域。



だから――

自分は、永遠に堕ちよう。


 
仮令其れが――

外れた運命(みち)であろうとも。



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