ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~

├警護団長の奔走

 桜Side
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私は玲様の指示で、池袋周辺から色々な場所に赴いていた。


――桜、女子高生を中心に流行している携帯でやる恋愛ゲームについて調べたい。


『B・R(ブラッディ・ローズ)』


玲様が呈示されたのは、

奇(く)しくも、私達が直面している謎の名前と同一だった。


――アリス委員会というのは、偽名の集団で実存しない。実存するのは攻略キャラだとすれば、何故その"5人"が選ばれたのか、それを知りたいんだ。


――通称…東京イケMENSと言うらしい。櫂もその1人だ。



"阿賀光彦"

"路方(ろかた)陸人"

"伊澤琢磨"

"結城隼人"

"紫堂櫂"



私の手には、玲様から渡されたメモがある。



「恋愛ゲーム…」


最初聞いた時、何だろうと思った。


玲様がいつもされている、"格闘ゲーム"は知っているのだけれど。


――疑似恋愛さ。現実では叶わぬ恋を、非現実な世界で叶えて、幸せを噛みしめようというゲームのことさ。


――『B・R』には、恋愛だけではなく格闘要素もあるらしい。


玲様の推測では、血色の薔薇の痣(ブラッディ・ローズ)と同じ名を持つ、その虚構世界(ゲーム)が、何らか関係しているらしい。


――偶発的に流行ったゲームではないと、僕は思っている。


芹霞さんの携帯にもあったというそのゲーム。

彼女も恋愛ゲームとやらに夢中になったのだろうか。


櫂様も玲様も、認めたくは無いけどあの馬鹿蜜柑だって。

揃いも揃った極上級の男達に想われて、それでなぜ虚構世界の恋愛を体験したいのか、私には判らない。


虚構世界では櫂様を対象に選んでいるらしいが、現実世界では何故櫂様を選ばないのか、その心が私には理解ではない。


東京イケMENS。


櫂様は判るが、馬鹿蜜柑も玲様も…含まれてもいいと思う。


現役高校生という縛りで選ばれたならば、煌だけでも十分役目は果たせるはずだが、ゲームから外されてしまったのは…


「馬鹿だから?」


そうとしか思えない。
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