ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~

├お姫様と飼い犬

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煌の褐色の瞳が――赤い。


血色のような真紅の色。



あたしは事の重大さを実感した。



「そんな怯えるなよ。傷つくだろうが」



笑う顔はいつものようにあどけなく。

目さえ見なければいつもの煌で。



だけど――判る。



あたしには判る。


煌じゃない。



だから桜ちゃんは――



「正気に返れ、


――このボケがッッ!!!」



脅威の跳躍力。


190cmの頭上を遥か超え、真上から煌の頭目掛けて肘を落とした。


しかし煌は――


「うぜえんだよ、お前」



左手で桜ちゃんの肘を軽く受け止めると、乱暴に横に払った。


桜ちゃんは片足で地面を蹴り、もう片方の足で煌の腹を蹴り上げる。



――ガスッ。



確かに入ったはずなのに。


煌はただ薄く笑うだけだった。


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