ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~

├飼い犬の覚悟

 煌Side
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考えれば身体に震えが来る。


芹霞が死ぬなんて。


そんなこと…

俺は予想すらしていなかった。


芹霞が俺の手を払って駆けた時、どうして俺は玲を見捨てても芹霞を止めなかったのだろう。


どうして…俺は…

芹霞を止められなかったのか!!!


――ぎゃあああ!!! 煌、そのゴキブリとってッ!!!


笑って過ごした俺達の日常。


そこからお前とったら、俺に何が残るってんだよ。


お前、どんだけ俺が惚れてるか、やっぱ気づいてねえよな。


他の男助ける為に、お前…俺を切り捨てたんだぞ!?


なあ芹霞。


お前残酷だよな。


俺、お前が一緒に死んでくれると言ってくれた時、マジ嬉しかったんだ。


だけどさ。


――櫂がもし死んでしまうなら、あたしは果てまで追いかけて櫂を叩き起こしに行くよ。



俺馬鹿だから、ようやく今気づいちまった。


いや…

ずっと気づいていたんだろうけど。



芹霞、お前は――


俺には…未来のない"死"の関係を望んでも、

櫂には…未来のある共の"生"の関係を望むんだな。



それ、恋愛とどう違うよ?


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