「ほ、本物……?」

「ああ、本物だ」

「本物って。――もしかして撃ったの?!」

「……1回だけ」


 茜は信じられないと言うような目で健吾を凝視した。

 それから僕らは、死神について僕らが知っている限りのこと全てを茜に話した。茜は何も言わずに最後まで聞いてくれたけれど、やがて重たいその口を開く。


「悠夜達が死神なのは信じる、けど、どうしてそれを私に?」

「茜は大切な人でもあり、命の恩人だから。隠し事をするなんて嫌だから。それに……」


 僕は漆黒の約束を取り出し、中身を茜に見せた。


「これ……」

「僕らはそこに書いてあることを実行しないと、消滅するらしい。でも茜を殺したくなんかない!どうしたらいいのか、分からなくて……」


 茜の顔を見るのが怖くなって、僕は俯いた。健吾も黙ったままだ。茜はカタカタと震える手で、自分のコップを手に取ってジュースを一口飲む。

 本当は言いたくはなかった。茜を傷付けたくはなかった。

 ――この時、茜は複雑そうな表情を浮かべたのに、僕は俯いていたために気付くことが出来なかった。


「そ、か。私を殺さないと、2人共消滅……しちゃうんだね」

「でも、僕らは……!」

「分かってる。だからこそ戸惑っているんだもんね。……わざわざ、私の家を訪ねて来たんだもんね」

「……」

「そんな悲しそうな顔をしないで? 私はもう、決めてるから」


 決めてる?何を?――答えを。


「あ、茜……?」

「さぁてっ!最期なんだし、目一杯遊んじゃおっか!」


 僕の心配の言葉を遮り、嬉しそうに笑う茜の姿を見て、僕の胸が苦しくなる。

 だって今の笑顔は作り笑顔。茜自身が死ぬとしても、僕らが消滅するとしても、こんな笑顔を浮かべれるわけがない。

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