「さァ? 忘れた。……つか、ヘナチョコの心配より自分の心配をしたらどうだ? 俺様はテメェも殺すって言ったが?」


 わ、忘れた……ってそんな馬鹿な。なんて俺様な理由……。


「いーの!僕は自分の心配はしない主義だから。なんていったって僕は竜司に負けないくらい強いしね!」


 あっけらかんと答えた久遠を、竜司さんはつまらなさそうに見て、それから溜め息を長々と重い吐いた。


「テメェは昔から変わンねェのな。……もういい。ここにいるのには飽きてきたし、そろそろ帰る」


 ホッ……。
 顔に出さないよう、心の中で安堵の息を吐く。


「そ。バイバイ」

「――ヘナチョコ」


 『ヘナチョコ』は名前……じゃないけれど、僕のことを呼んでいるのだと思うと僕の心臓がドキリッと跳ねた。


「……なんですか?」


 僕は竜司さんに、何を言われるんだろう……。


「また来るぜ」

「へっ?」


 なんの変哲もないその言葉に、僕は自分の耳を疑った。

 てっきり、「今日のことを恨んでいるから、忘れるんじゃねェぞ」って、遠回しな殺し宣言をしてくるかと思ったのに……。じゃなくて、まっ、また来るの?


「あ、あの……!何しに来るんですか? やっぱり健吾を……」

「ま、そんな感じ。だからヘナチョコ……覚悟しとけよ」


 僕が「殺しに来るんですか」と言い終える前に竜司さんはそう言い、手をひらひらと降るとふわっと浮き上がった。

 どうしよう?!今度来た時、竜司さんの手によって健吾は殺されてしまう。そんなの、絶対に嫌だ。

 遠くに飛んでいく竜司さんから目を逸らし、僕はすぐに健吾の心臓の鼓動を聞くために、胸元に耳を当てる。

 ……大丈夫。まだ動いてる。

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