「僕の過去は選ばれし者にしか見ることが出来ない。それ以外の者に見えるのは――ただの、暗黒」


 猛スピードで竜司に近付いて鎌を振り回す久遠だけれど、それに負けないスピードで竜司はかわしていく。長年も死神をやっているからこそ、2人共こんなにスピードが出るのだろうか。

 ――って、そんなことを考えている場合じゃないっ!とめなきゃ!


「久遠!やめてっ!」


 竜司は本当はいい人だ。さっきのことといい、健吾のことといい、いい人なんだ!

 竜司に借りを返すとかそういうつもりじゃないけれど、2人に闘ってほしくない。傷付いてほしくないっ!

 でも、どうやって闘いをやめさせよう?!僕みたいなのが2人をとめられるの?

 僕がどうしようかと考えている刹那、ホールの入り口から見覚えのある人物が走ってきた。


「健吾っ!幸恵さんっ!亜希ちゃんっ!」


 僕は3人の登場を、心の奥底から喜んだ。表情が自然とほころびる。


「え……少年くんと竜司が闘って……? 一体、どういうことなの? これは!」


 幸恵さんが僕に向かって叫ぶ。

 叫ばなくても、このホールは声や物音を反響する造りだからちゃんと聞こえてるってば!


「色々と訳がありまして……」

「色々と……って、坊や。少年くんの目は本気なのよ?!」


 幸恵さんがオロオロとしている刹那、久遠の振り下ろした鎌が竜司の腕を切り裂いた。


「ぐ……っ!」


 竜司が腕を掴み、痛みを押さえている間にも、久遠は足を止めることなく向かってくる。このままだと、竜司は確実に久遠によって殺される。

この作品のキーワード
死神少年  死神  少年  恋愛  グロテスク  仲間  ダーク  ファンタジー  ホラー 

感想ノートに書き込むためには会員登録及びログインが必要です。