「……死神って、いいかもしれない……」


 お父さんの血に塗れた両手を見つめながら、私はぽつり、呟く。その呟きは、みんなの騒いでいる声で消えていく。


「さ~ってと、用事は終わったことだし、さっさと退散するかな♪」


 少年は言い、私の手を掴んで屋根の上に向かってジャンプした。みんなはお父さんのことに気をとられていて、私達が人の域を超えたジャンプをしたことには気が付かない。

 ああ、風が気持ちいいなぁ……。


「ねぇ、なんで鈴を鳴らしたら頭が破裂したの?」

「それは死神事務所で話すよ。キミはまだ小さいから、人間界で生きていくにはまだ早い。死神事務所にいるみんなは優しいから、だいたいのことをそこで学ぶといいよ」

「分かった。私、死神として、これから頑張るね」


 私がそう言うと、少年は温かく、優しく、微笑んだ……ような気がした。

 前方を向いている少年の顔を、私は見ることはできない――。


 鈴村亜希の過去 -了-

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