「はなしっ……久遠!痛い!痛いから放し……てっ!」

「……悠夜か」


 そう言った久遠は、掴んでいた僕の右手を放した。

 あ……掴まれていたところ、赤くなってる……。


「いった……」

「悠夜が悪いんだよ? 僕に手を伸ばすから……反射的に身体が動いちゃったんだもん、僕は悪くないからね」


 僕が悪い、の?頭を撫でようとしただけ……うーん、それがダメなのかなぁ。起こされると思ったとか?


「ごめん……」


 手を伸ばしただけで起きたってことは、それだけ警戒をしているってことでもあるんだよね。僕が久遠を完全に信用したわけじゃないように、僕も信用はされてないってことか……。

 しょうがない……かな。


「あの……眠いの? 部屋に連れて行ってあげようか?」


 小さいけれど空き部屋がある。特に使う予定のない空き部屋だったし、久遠の部屋にしたらちょうどいいかも。


「うん、僕に手を伸ばした罰として連れて行って」


 眠たそうに目をこする久遠に、内心微笑みながら、僕はその部屋に連れて行った。ベッドしかない、本当にせまい部屋だけど。久遠はベッドの上にうつぶせで倒れ込むと、またすやすやと寝息をたてはじめた。


「寝るの早っ」


 なんていうか……大袈裟かもしれないけれど、久遠自身にとって安心する居場所がようやく見つかったっていう感じがする。

 ……うん、本当に大袈裟だ。本当にここが久遠にとって安心する居場所なのか……僕には分からないのに。


「おやすみ、久遠」


 小さく言い、僕は扉を閉めた。

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