「……鬼死神の野郎に、悠夜を変に刺激するなって言われてるし……仕方ねぇか」


 ぼそっと何かを呟いた久遠は、身構えるのをやめた。


「仕方ねぇから血祭りにあげるのは止めといてやるよ。運が良かったなァ、幸恵」


 そして久遠は、先程から入り口に立ったままでいる少女の方を向いた。


「亜希(あき)、さっさとこのうるせぇ女を連れて帰れ」


 この子、亜希っていう名前なんだ。連れて帰れってことは……もしかして、母子?!いや、でも、さっきは幸恵さんを呼び捨てにしていたし、……あれ?どういうこと?


「亜希も俺らと同じ死神なんだが、まだ幼ねぇから、血は繋がっていないが幸恵と暮らしているんだ」


 僕が不思議そうな顔をしているのに気が付いた久遠は、そう説明してくれた。

 そうだったんだ……。亜希ちゃんの実の両親のことは分からないけれど、死神同士でいた方が色々と効率がいいのかもしれない。

 亜希ちゃんの大きな瞳が僕を捉えた。


「あなた、新人?」

「あ、うん。高山悠夜っていうんだ。よろしくね……?」

「私、鈴村(すずむら)亜希。……悠夜、せいぜい……死なないように、ね」


 ポツリポツリとそう言った亜希ちゃんは、僕らに背を向けて歩き出す。幸恵さんは「待ってよ」と、小走りで亜希ちゃんの後を追ったのだった。

 さっきまで少しばかり賑やかだった公園が、一瞬にして嘘のように静まり返った。隣に立っている久遠は、相変わらず青年のまま。そして闇のように黒い翼を生やしたまま。

 ……色んな展開があったせいで気にもしなかったけど、この翼って……本物なのかな?

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