堕ちた、堕ちた、雫。

 紅い色をした、水滴。

 それは紛れない、罪の色。





 第3話 紅の涙





 明日から東雲高校を初めとした学校が、夏休みを迎える。
 そして、明日がエターニティに行く日でもある。……健吾との約束の日でもあるけれど。久遠に生死界に行く日を変えてもらえないかと聞いてみたけれど、「早めに行かないと困るのは悠夜なんだよ」と言われ、返す言葉が出て来なかった。
 健吾に断ろうとしても、健吾は行く気満々らしく、すでに行く場所を決めたようなので断れない。どうしたらいいのかと悩みながら、僕は健吾と茜の3人で帰り道を歩いていた。


「明日から夏休みかぁ。しばらくの間、会えなくなるのは寂しいね。まぁ、寂しくなったら家に遊びに来たらいいけどね?」


 茜の言葉に、健吾は「気が向いたら行く」と笑った。僕も「その時はお邪魔するね」と、微笑む。
 ――結局、言えなかった。僕は死神になったんだって。もしも言ったら、健吾が僕の目の前から消えてしまうんじゃないかって。そう思ったら怖くて、言えなかった……。


「私はこっち方面だからね~。じゃあね、2人共っ!」


 茜は満面の笑みを見せ、自分の家の方向へ歩いて行った。手を振った僕らは、マンションに向かって歩き出すんだけれど……次の健吾の言葉で、前に動かしていた足が止まった。


「……悠夜。――お前、なんか悩んでいるだろ?」

「……え?」


 健吾の顔に目をやると、僕の顔を真っ直ぐに見つめながら、いつになく真剣な表情をしている健吾と目が合う。


「……」

(……っ)

「……」

「……何も、ないよ」


 僕は健吾から目を逸らし、言った。その声が震えていたような気がしたのは、きっと気のせい。僕はバカだ。せっかく健吾が与えてくれたチャンスを、棒に振ってしまった。でも、言えるわけないよ。失いたくないよ。ああ、僕はずるい。健吾を失いたくないからって、騙すなんて……。

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