その日は暑かった。


 まるで決まっていた僕の運命をぐらぐらと狂わせるくらいに。





 第1話 選ばれし者





 季節は夏休みに入る数日前――7月の半ば頃。

 昼休み、東雲高校2年1組の生徒である僕?高山悠夜(たかやま ゆうや)と、僕の親友である高崎健吾(たかざき けんご)は屋上にきていた。

 先生にクーラーをつけてもらえない教室は蒸し暑いため、「風通しがいいから涼しい」と自信満々に健吾に言われ、屋上へとやってきたのだけれど……。


「あー……。ダメだ。教室と対して変わらねぇ暑さだ……」

「本当だね……」


 健吾の言う通り、教室と対して変わらない暑さだけが屋上にあった。いや、下手をしたら、地面がコンクリートというだけあって、教室より暑いかもしれない。

 屋根にあたる部分の下でしゃがみ込んでみても、太陽の光が直接当たらないというだけで、蒸し暑いことに変わりはない。手を下敷きで扇ぐように、パタパタと顔の前で動かすと、僅かにながらだけれど、むあっとした生暖かい風が顔にまとわりついた。

 2人、隣同士並び、だらんと壁にもたれかかって特に意味もなく青空を見上げていると、突如横にいる健吾が口を開く。


「悠夜さ、死ぬ人が分かるって、この前に話してくれたじゃん?」

「……うん」


 ――そう、健吾の言う通り、僕には死ぬ人が分かる。

 もうすぐ死ぬ運命にある人の額の真ん中に星印と、星印を左右から挟み込むように、×印に1本の棒が縦に貫いているような模様が浮かび上がる。書き表すなら、“*★*”――このようなマーク。

 最初はただの偶然だと思ったけれど、日に日にそれは偶然じゃない、生れつきある能力なんだって気が付いたんだ……。


「なぁ。俺は、近々死ぬか?」


 僕に顔を向けた健吾は、とても真剣な眼差し。僕のこの不思議な能力をバカにするわけでもなければ、ふざけて聞いているのでもない、真剣な眼差し。その真剣な眼差しを見て、僕は改めて思う。――ああ、健吾と親友になれて、本当に良かった。


「健吾はまだ死なないみたい。……っていうか、健吾には死んでほしくない」


 照れ臭そうに笑う健吾に、僕も釣られて笑った。

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