赤い愉楽
書かれていた文字を口に出して読む怜奈。

額にジワリと汗が浮かんでくる。



「4月1日は奥田



大阪 豊能学園」




ブックカバーに書かれていた文字は
それだけだった。




怜奈にはそれがどういう意味なのか
さっぱり解らない。



しかし怜奈に解る言葉が一つだけある。


目の中に光を取り戻した怜奈は
携帯を取り出した。


新しく登録した電話番号。


震える手で電話をかける怜奈。


やがて怜奈は電話の先の相手に
こう言った。


「奥田さんですか?今すぐお会いしたいんですけど」


軽快に道を疾走するタクシーの中


怜奈の心臓の鼓動は
確実に高まりつつあった。


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