記憶 ―惑星の黙示録―
それなのにリュウは、余裕の表情で先程通りの口調でスラスラと話した。
「そうだよ~?ほら、…あそこから出て来たんだ。」
リュウの指差す方向を必死で見上げる。
首を上にあげると、首ごと空に持っていかれそうになる。
それでも、なんとか体ごと捻って上を見上げると、ちょうど七色の「近道」がスゥッと白い雲に消えていくところだった。
視線を、
体を、必死に下へと戻す。
ついさっき目視出来た村が、どんどんと私たちに近付いてきていた。
「リュウ!…これからっ…どうするのぉ!?」
「どうするって?」
リュウは余裕に満ちた表情で、迫ってくる村を眺めている。
元々、こうゆう顔の作りなだけで、実は怖がっているの?
この子…
耳元で風たちがゴォゴォ唸っている。
村の住民たちがこちらに気が付き、私たちを見上げているのが伺えた。
「このままっ…落ちたらぁ、ぺちゃんこっ…!」
「ぺちゃんこになっても、村の住民たちは俺たちをきっと歓迎してくれるよ~?」
…はぁ?
しばらく、その言葉の意味を分からずにいた。
分からない方が幸せだった。