記憶 ―惑星の黙示録―


アランの力…
紫色の光に包まれながら、
私たちは手を繋いだまま…。

空へ空へと、
上昇していった。

青い青い晴れ晴れとした空に、流れるのは真っ白な雲。


私たちを見上げて手を振るリュウさんの姿が小さくなると、

視界には…一面の花畑。

上から見下ろした、
橙色と黄緑色のその世界は、
どこまでも向こうへ…

果てしなく広がる、
穏やかな優しい大地。


この花畑の向こうには、何があるんだろう…。

でも、それは。

今は知ってはいけない事。
そして、
いつか知る日は来るという事。



「…さぁ、奈央。あっちだよ。戻ろう?」

アランに手を引かれ、
もう一度だけ小さなリュウさんに手を振ると、花畑とは逆の方向に進み出す。


「…もう落ちないでしょうね?」

「あはは!リュウの引いた道なら確実でしょ。それにあの時と違って、俺たちに「体」は無いから重くはないのさ~!」

「あぁ、そっか。」

なるほどね…と、

私が作った笑顔に…、
アランが私に返した笑顔に。

もう「寂しさ」は無かった。


風たちは、
私たちを通り抜ける。

澄み渡る青空の下で、

心も、晴れ晴れと…
もう重くはなかったんだ。



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