記憶 ―惑星の黙示録―


辛くて苦しい涙を、
我慢する事は出来るんだよ。

でも…

嬉しい涙を、
止める方法は知らなくて。

私はお腹に手を当てたまま、
どのくらいの時間泣いていたんだろう。



「…っていう訳だから。皆さん、これからも宜しくね?」

そう新さんが立ち上がって言ったから、
はっとして…
周囲に目を配ると…。


私と同じ位、ボロボロの顔をした…愛里と絵美。
梓さんがその間で、おろおろとしている。


「…ふ、ふふ…」

何で二人まで泣いてるの?
と、その様子が可笑しくて笑いは漏れるのに。
未だ涙は止まらない。


「…っく。新が、奈央…泣かした~…!」

「意味分かんない事言って…泣かしたぁ…ぁ…」

そう「しゃっくり」まであげながら、二人は新さんの両腕をバシバシと叩いていた。

多分…
私が普段は強がって、
二人の前ですら泣かないから…

過剰に反応させちゃった?


「…バカぁ!奈央が…泣くって、無いんだよ!?」

「…っく。新、嫌い!」


そんな罵声をあびて、
「…えぇ~?」とおどけて見せる新さんも、やっぱり少し困っていて。

私に「助けて」と視線を送るのだけど、意地悪な私は…

やっぱり、放っておいたの。



< 249 / 262 >

この作品をシェア

pagetop