プリンセスの条件
*お姫様の葛藤
ミサトにマンションまで送ってもらい、そのままベッドに潜り込んだ。
布団を頭からひっ被って枕に顔をうずめて。
もう何も考えたくなかった。
だけど部屋の時計のコチコチという音が、今日はいつもより部屋に響いて、強く目を閉じれば閉じるほど、耳に残る。
眠って全て忘れてしまいたいのに……。
ポロポロと涙だけが零れる。
どのくらい時間がたったのかは分からない。
だけど、どんどん冬が深まる冷たい外は、まだ真っ暗だったことを覚えてる。
そんな時。
ピンポンとインターフォンが鳴った。
こんな真夜中の訪問者なんて、タチの悪い酔っ払いに決まってる。
そう思って反応しないあたしに痺れを切らしたのか、何度もしつこくインターフォンが押される。
「出るまで押すぞ」
そう言っているようで、観念してモニターを覗いた。
その瞬間……
「え、……なんで……?」
さっき止まったはずの涙は、あっけなくまた流れ始めた。
どうしてこの人はいつも、“会いたい”と思った時に現れるんだろう?
今は……優しくなんかされたくないのに。