【完】白い花束~あなたに魅せられて〜



真っ暗だった辺りはいつの間にか薄暗くなっていて、空は濃紺とオレンジのグラデーションになっていた。



そのまま地下駐車場に降りれば、既に翔はいて。



少し怖いと思いながらも、車に近づいた。



「仁菜」



ドアを開けるより前に、翔が車から降りてきて、抱きしめられる。



『翔…』



その温もりに安心して、同じように腕を回して謝る。



『…ごめんなさい』



抱きついたまま翔の胸に吐き出した言葉は、小さくて少しくぐもった声だった。



「…俺も、悪かった」


『謝らないで。翔は悪くない…ね、頭撫でて欲しい…』



そう言った私に翔はいつもの様に、頭を撫でてくれて。



身体はもう震えなかった。



この安心感が私を落ち着かせてくれる。



その後ここで話すのも…と車に乗って翔の家に行った。


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