『ねぇ、ママ。どおしてパパは
いつも寝ているの?』
女の子は、母親の服の裾をつかんで、
ベットで寝る父親に指をさす。
母親は、その子の手を引きはがすと
椅子に座り、足をくみタバコを
吸い始めた。
女の子は、それでも母に近づき
『ママはどおしていつも色んな
男の人と一緒に寝ているの?』
と聞く。母親はそう聞くと
タバコを足元に捨て踏み潰し、
髪を掻き毟り大声で怒鳴りつけた。
女の子は、ビクリと体を震わせた。
『ごめんなさいママ。
もう言わないよ。
本当だよ…ママ。良い子にするよ。
だから怒らないで…』
女の子は声を震わせて
泣きそうな顔でそう謝る。
母親は苛つきながらつぶやいた。
『稀菜、あんたなんか、
生まれちゃいけなかったのよ。
パパと一緒に死んでしまえばいいのに。』
女の子は何を言われたのか
理解できない。
『ママ、稀菜なんか
いらないの。稀菜なんて
いなくなっちゃえばいいのに。』
母親はそう言いながら涙を流した。