ありふれた

鬱のときほど学校に来るのはためらいがある。

「いや、早く本題に移らない?」

バキッゴスッ

「殴るよ!!」

「既に殴ってますが!?」


――――――――――――――――――

結局、人気が少ない屋上前の階段で話しをすることになった。

麗は幼なじみで、とても仲が良かった
現に今もとても仲が良い

しかし、その感情が恋愛になることなんて、一度もなかった、
しかし、向こうが考えてたなんて、
いや、決めつけるのはまだ早い。
早いぞ令二

「んで、話しって何さ」
その言葉を聞いた途端、 麗の体が明らかに反応した
そして、下を向きながら、
「ははっ話しってのは、」

「ちゃんと言えよ、なんだい?」

「う、うんありがと、………… でね! 話しってのは」

お、言うか
いやぁ、いざ聞くとなると 恥ずかしいなぁ

「篠原君いるじゃない?」

あ、紛らわしたコイツ
ま、乗ってやるか

「篠原? 翡翠がどうした?」

「う、うん、ししし篠原君が、 いや、篠原君の事が」

なんだ? まさか、篠原の事が好きなんてことは……

「好きなの!」
「ぶっ!!!」

翡翠ぃ!? 嘘だろ? いや、悔しいと言う訳じゃないが、 いや、なんで翡翠?
「で、麗さん、な 何故翡翠の事を俺に?」

「だって仲良いでしょ? 私と篠原君のキューピッドになってよ♪」

満点の笑みでそう言うのであった……
ちくしょー 断れねぇー

「ま、まぁいいよ?」

あぁあ 言っちゃったよ、俺

「本当に!? ありがと令二! 今度何かおごるね!」

「おーう 高いのなあー」
麗はそう言って階段を降りていった


…………
いや!? 悔しくないからね!?
翡翠いい奴だし!

「はぁ、」
ため息をついてドア越しの外を見る

悔しい訳じゃないのに、

なんでだろう、

…………………
娘をやる父親ってこんな感じなのだろうか、

いやいやいやいや
俺にそんなこと言えるか、

麗とは ただの、

そうだよ

ただの、幼なじみなんだからな


………

「俺、何考えてるんだろう キメェ」

そんな、少し憂鬱気分で 家に帰ったのだった
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