「…まだ来ないんだけど」

イライラしながら私は腕時計を何度も確認する。

「連絡も全然ないし。なにしてんのよ、アイツ」

チッと小さな舌打ちをする。
チケット自体の手続きはすでにネットで終わっているので、すぐに保安検査場に行けばいい。だから、時間は通常より余裕がある。

でも。

「もう…ほんとに、急がないと間に合わなくなっちゃうじゃん」

とんとん、と足を小刻みに動かしながら私は携帯をチェックする。
アイツからの連絡はまだない。

リダイヤルでアイツに電話をかけてみる。

だが、流れてくるのは留守番電話サービスのメッセージのみ。

「なにやってんだろ。ほんとにこれで寝坊とかしたらマジで許さないんだから」

特大の溜息をついたときだった。

「あ…!ちょっと、遅いって…え?」

見覚えのある人物が、足取り重く歩いてくるのが見えた。


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