AVENTURE -君の名前を教えて-
秋の風が、優しく私たちを撫でていく。
アヤの鼓動に、自分の鼓動が重なるのを感じた。

「あぁ、そうだ」

そっとアヤが抱きしめていた腕を解き、私をじっと見つめた。

「え、なに?」

首を傾げると、アヤは私の手を取って跪いた。

「ずっと、お前に聞かなければならないことがあったんだ」

にっこり笑って、アヤは私の手の甲に、優しく口づけをした。

「ほたるじゃなく、お前の本当の名前で呼びたいんだ」

言われて、私は思い出した。
最後まで、名前を教えていなかったことを。

「もう、いいだろう?」

アヤに言われて、私は笑った。

「君の名前を、教えてくれ」

私は頷いた。

「私の名前は…」


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