紳士的なLady
階段スケルツォ



「お願いします」



1年生が私に向かって、深々と礼をする。

私は、にっこり笑って竹刀を持つ。





***



今は放課後。 

部活の剣道をしている最中だ。




この時期の袴は、すごく暑い。



いや、“暑い”よりも、“熱い”の方が合っているかも。



蒸し暑さを言葉に言い換えてみても、一向に涼しくならない。

「夏の間の我慢だ」と思いながら、相手の様子を伺う。





「メェェェン!」



来た。


後輩のメンを振り払って、すぐに攻撃態勢に変える。



「ドーウ!」



彼女はあっさりと私の胴を喰らってしまった。




あっ、痛そうな顔してる……!



後で彼女の様子を見に行って、謝らなきゃ。


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