一瞬の永遠を、きみと

「そりゃそうだけどさ、なんか、こう……なんだろうなー、もう! わからん!」

「怒りっぽいなー夏海は。まずは落ち着け」


宥めるように、朗がわたしの背中を叩く。


後ろにいるから顔は見えないけれど、相変わらず涼しげな顔をして飄々と優雅に自転車の旅を楽しんでいるに違いない。

わたしは汗だくで体中痛めてみっともないのも顧みず頑張っているっていうのに。

なのになかなかその努力も、報われてないっていうのに。


「もー! 海こっち来いー!」

「無茶言うなよ」

「わかってるっつーの! わかってても言いたいことだってあるんだよ!」


小さい声でも聞こえるのに、無意味に叫んでしまう不思議。

そして叫んだら息が切れてきたという、不思議でもなんでもない生理現象。

馬鹿だわたし、知ってたけど。


だって言いたかったんだから仕方ないじゃない、言うだけならタダなんだもん。

まあ、言って虚しくなるのも仕方のないことだけれど。

そして疲れるだけ。
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