流華の楔

禁門の変

七月二十一日

天王山






鮮やか過ぎる浅葱色に、どす黒い赤がべったりと絡み付く。



山崎と共に監察方を務めていた和早の、最後の任務。

監察方としてではなく、一人の武士としての戦い。




「……――くっ、」




赤い液体。

優美な顔を、返り血で濡らし、



「っ…はあ、…はあ、」



和早の呼吸は荒く乱れる。

妖艶なまでに色付いた頬の傷を強引に拭い、再び戦いの中へと入り込む。









この戦いは、長州が仕掛けた池田屋事件の報復――…




三日間続いてきた戦闘の、最後の一日。


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