たぁ坊とるぅ *32page*
すき。



「、っ待ってなくて良いって言ったじゃんっ」

「……ん」



付き合い始めて3ヵ月の私の彼氏。

無口で無愛想で無駄にデカくて、おまけにーー‥



「たぁ坊バイバーイ」

「愛してるよー」

「あたしもー♪」



ーー……モテる。

なんで?
こんな五分刈りなのに?
坊主なのに?



「おー」



片手を挙げてそう一言発しただけなのに、

女の子たちは何だか嬉しそうに笑う。



「ちょっ、彼女いるって」

「わ、ほんとだ。ちっちゃくて見えなかったわ」



どーせちっちゃいですよっ。

このデカいのと一緒に居たら、余計に小さく見える。



「お前、ちっちゃいって」

「あんたがデカいからそう見えるだけですっ」



私のつむじを見ながら喋るこいつに、イラつきを隠せない。



「ん」



ん、じゃ分かんないよ。


何のために伸ばされたのか分かんないデカい手をくぐって、私は先を歩く。



「おい、自転車」

「乗らないっ」




私はてくてく早足で歩いてるのに。




チリチリチリチリ‥




自転車を押して歩くこいつは、余裕でついてくる。



「何イライラしてんだ?」

「別に」



制服のスカートがヒラヒラするのを見ながら、リュックのバンドを下の方で持つ。



「あぁ、」



何度も言うけどこいつは

無口で無愛想で無駄にデカくて、しかも坊主で


おまけにーー‥



「生理か‥っ、イって!!」



デリカシーもない。



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