木苺の棘

泡沫の露

雨は、容赦なく二人を濡らす。

人気の無い路地裏

貴方は、サングラスを外して
優しい瞳で私を見つめた。

今、目の前に存在する貴方は
紛れもなく、昔

私が大好きだった人・・・

あの、たまき先輩だ。

貴方は、上着を脱ぎ
雨に濡れる私の肩に
掛けてくれた。

「ありがとう」

貴方は、首を振る。

「アリス、ごめんな
 ・・・・・・
 俺が無理やり、お前を
 こんなところまで・・・」
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