×隣のヤンキー少女×

♀晴れ、時々キス





「…ただ…いま」



自分でも、あいつに何をぶつけたのか 分からない。


何であんな気持ちになっていたのかも。



「…………寒…」



雨に濡れた体は、冷える一方だ。



「シャワー浴びよ…」



ばばあがいたら心配しただろうな。


今はタイミング良く 仕事でいない。



いちいちうるさいだろうから。





「……ホント、むかつく」



あいつ、咲坂 紀理が。


昔のあたしを美化して、まだ好きだとかほざいてるんじゃないの?



今のあたしは昔みたいに強くない。


あいつだって あんだけ変わったんだから守る必要もない。




今日 一緒にいた子だって、きっとあいつに気が向いてる。


表情を見れば分かる。



あたしだって女だ。



確かにあいつはモテる要素は備わってると思う。




だけど どうしても…



「………紀理………」



昔の紀理と重ね合わせてしまう。



“違い”が、混乱を生む。





――だけど。


さっき感じた気持ちは、混乱からの苛々ではなかった。




朝、あたしの隣で傘をさしていたあいつが

同じ傘の下で、女と笑ってた。



あたしの事が好きだって言いながら 他の女にも気をもたせるんだ。



(あの頃の紀理なら…―――

ドンドン!!!


「―亜美っ!!」



「っ!?」






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