かけがえのないキミへ
~9.数センチの壁~


自分の進む道に夢中で、周りを見落としていた。

次の朝、なにかが崩れ始める─…


昨日、あれから綾音と部屋に帰り、仲良くアイスを食べた。
そして、一緒に夕飯も食べた。
綾音はいつもより笑顔が絶えなくて、俺も笑う。綾音が笑顔になれば、俺も笑顔になる…。



今日こそは真面目に学校に行こうと思い、いつもより早めに起きた。
隣の部屋からは物音すら聞こえてこない。
綾音はまだ寝ているのだろう。


今日ぐらいは俺が朝ご飯を作ろうと思い、キッチンに立った。
だけど何をすればいい?料理などあまりしたことがない俺は、戸惑ってしまう。

いつも簡単な冷凍食品だから。


冷蔵庫から卵を2つ出して、それを割った。
中から飛び出る黄色の丸。
まるで月のよう。


『…はぁ?』


一個は綺麗に割れたのに、二個目は、黄身が潰れてしまった。
この時点で、めんどくさい度アップ。



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