another story
4.
その日は、何かのイベントがあったらしい。
サッカーか何かの、日本代表の試合、だったそうだ。

スポーツに疎い私は、それがなんだったか、はっきりとは覚えていないけれど。


とにかく、駅のホームはひどく混み合っていた。

私たちの学校の最寄駅は、
そうしたイベントが開催されるスタジアムに行くために、多くの人が乗り換えに使う駅でもあったから。


そんな日に、“私”と先輩は晴れて交際初日を迎え、
二人で一緒に帰ることになったのだ。

私は緊張で会話どころではなかった。


けれど先輩は、私を見てにこにこと優しく笑っていた。

混み合うホームでも、“私”を優しくエスコートするようにして歩いてくれていた。


ここで、“さゆりちゃん”は人とぶつかり、
線路に落ちそうになったのだ。
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