不器用男子

 なんとか立ち上がって学校は出たものの、もの全部が2重3重に見える。


「ちょっとヤバいかも…。」


 完全にダウンしたあたしは、その場で少し休もうと思い、壁にもたれかかった。


「ふーっ。」


 それからどれぐらいたっただろうか?


 
 体をゆすられている感覚になって、目を覚ました。



 目を開けると、いつもより高い所に視線を感じて前をみると黒髪が揺れてる。


「え…。」


 状況を飲み込むとよくわかってきた。



 どうやら、木下君におんぶされているみたい。


 って…木下君!?


「あんなところで1人危ないだろ…。」


 木下君がため息をついてる。


「ごめんなさっ…」



 顔色をうかがおうとしたら、すごい汗。



 あっ…私重いかな…!?

「おっ、重いよね…!? いいよ! おろして!!」

「軽すぎ…お前熱い。」


 お前…お前…お前…


 木下君にお前って言われたのがうれしすぎてグタッっとなった。


「うわっ、大丈夫か?」


 木下君に心配されてる。


< 22 / 244 >

この作品をシェア

pagetop