不器用男子

 そこには、下を向いて頭をかいてる恥ずかしそうな千隼。

「え…。」


 信じられない。


「どうしていいかわからなかった。 頭なでたのじゃわからなかったか。」

 
 そっか…。


 私、ひとつ大事なこと忘れてた。



 私の大好きな彼は千隼は、世界一不器用で無愛想な人だった。




 頭をなでたのが千隼のとっての最大限のやり方ってことだよね。



 気付かなかったよ。


 千隼ができない分私からしなきゃね…!!


 私はそっと千隼の手を取って歩いた。


「千隼…不器用すぎだよ。」


 千隼に聞こえたかは分からない。


 返事が返ってこなかっただけでばっちり聞こえてたかもね?


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