恋愛倶楽部 -love-

◆闇紫苑






「きゃっ!」


すれ違いざまに衝突して地に手をつく。

唇を噛みしめながら立ち上がると、濡れたアスファルトに転がった缶。


おそらくぶつかった衝撃で相手が落としたものだろう。





………あいつが、よく飲んでたミルクティーだ。




無意識にも、相手が缶に手を伸ばすまで視線をミルクティーに集中させてしまった。



「っごめ‥なさい」


顔をあげられずに、声にならない声で謝ってその相手の横をすり抜ける。







雪が降りしきる街路。

揺れるマフラーが人混みを駆け抜ける邪魔をする。



だけど今はそんなことを気にとめる余裕すらない。



季節は冬──クリスマスが近づいて街が賑わう頃だった。



もうすぐ高校2年生になろうとしていたあたしに訪れた、突然の決別。




「俺、他に好きな人いんだ。
だから別れて。
ごめん……」






< 2 / 432 >

この作品をシェア

pagetop