彼はネカフェ店員
迷子の彼女。

「お客様、当店のご利用は初めてで・・・」

「・・・・・・」

「っらっしゃいますよね。」

言葉もなく睨みつける私に、怯えているようにもみえる。


マニュアル通りの接客、でもシンちゃんの笑顔の輝きといったら半端ない。



かわい----


はっ



いかにかん。


あの笑顔に騙されてはいかん。



「禁煙のシングル、47番でよろしいでしょうか」

「はい」

「では、ごゆっくりどうぞ」


ああ・・・


なんか、涙出そう。


入店バインダーを持って、右も左も分からない私は漫画の棚の前で立ち止まる。


仕方ないことでも、他人行儀は寂しい。
< 5 / 8 >

この作品をシェア

pagetop