世界を敵にまわしても

水色ハアレクイン



「あ、はよ〜!」


次の日の朝、上履きに履き替えたところで声を掛けられた。


クラス内における人間の力関係で、トップを独走する最高ランク。そんな彼が何でBランクのあたしに……。


「お、はよう」


不審に思いながらも挨拶を返すと、宮本くんは無邪気に歯を見せて笑う。


驚くあたしをよそに、宮本くんはさっさと上履きに履き替えて友達と後ろを通り過ぎた。


「友達だっけか?」

「同中で同クラだったもん。あ、おはー」


友達の質問に軽く答える宮本くんは、クラスの違う友達にも挨拶をしている。


――なるほど。滅多に関わらない人でも、宮本くんにとって同中出身は声を掛ける対象なわけね。


というか、中2の時に同じクラスだったけど、本当に数えるくらいしか喋ったことがないのに。


……友達の友達でも声を掛けそうな宮本くんは、この学校でどれくらい友達がいるんだろう。


「……」

さすが最高ランクとしか言えないな。


眩しく感じる宮本くんの後ろ姿を見ながら、あたしは止まっていた足を動かした。


何でか今日は、いつにも増して体がダルい。


脳裏に浮かぶ言葉と嘘くさい笑顔が、その元凶を明確にさせた。



……絶対、朝霧先生のせい……。
< 30 / 551 >

この作品をシェア

pagetop