CHANCE 1 (前編)  =YOUTH=
第5章 Spot Light
 



『仁寺洞(インサドン)の副料理長!?

それは、俺の一存じゃ返事しかねるな。

英美ちゃん(母さんの事)に聞いてくれるかな!?』


「オモニ(お袋)の事をヨンミちゃんって言うの、止めない?」


『22年間、ヨンミちゃんなんだから、今更何て言うんだよ!』


「まぁ、とにかく、オモニ(お袋)に聞いてみるか!

それじゃあ、本郷スタジオの休憩室って、メチャクチャ広いですよね!

半分くらい唯で貸してくれませんか!?」


『50坪以上のテナントの他に休憩室も必要か?』


「店舗の裏に事務所と、倉庫が必要なんです。

在庫をいちいち新星MUSICまで取りに行くより便利ですし、直ぐにお客様に対応できるお店にしたいので。

厨房を充実させると客席が狭くなり、その上倉庫や事務所まで作るには50坪じゃ足りないんです。」


『まぁ、あの休憩室は余り使われていないみたいだから良いけど、唯かよ!』


「どうせ、出るところも入るところも一緒なんだから良いじゃないですか!」


『まぁ、そうだな。』


「ありがとうございます。

それから、新星MUSICに余ってる音響設備って無いですか!?」


『以前、原宿スタジオで使っていたのが、去年の改装工事の時に新しいものに交換して、でもまだ使えるからと、新星MUSICの倉庫に眠っているよ。

それで良ければリースしてあげるよ。』


「リースって、お金とるんですか!?」


『商売って言うのを覚えるには、ちゃんと支払うものは支払い、利益をあげるもんだぜ。』


「そうですね。

じゃあ、中古品のリースなんだから、安くしてくださいね。」


『あぁ、フルセットで月々1万円でどうだい?』


「ありがとうございます。

それでは、工事の進み具合と照らし合わせて、業者の人に取りに行かせますから、宜しくお願いします。」


『あぁ、一番程度の良いのを選んでおくよ。

照明装置とか、色々有るぞ。

ミラーボールとか、スイングライトやスポットライト、スピナーやストロボも有るけど、使うか?』


「良いんですか?」

『要るのが合ったら持っていって良いぞ。

これは無料リースしてやるよ。

こっちの倉庫も、物が溢れて狭くなっていたところだから、助かるよ!』


「じゃあ、音響設備も…」


『それは別だ。

あれは高かったからな!』
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