マスク・ドール

翌朝

「『マスク・ドール』? 何じゃそりゃ」

「18世紀頃かしらね。造られたのは」

翌朝、ソウマの店にはマカとルナ、そしてヒミカとキシが集まった。

ルナはソウマが出したイチゴのゼリーを食べながら、遠い目をした。

「最初に造ったのは、女性だったと言われているわ。何でも彼女は自分の美貌が自慢だったんだけど、病気でその美貌も崩れちゃったみたいでね」

当時、皮膚にまつわる病気が流行っていたらしい。

「それで恨みと怨念を込めて、例の『人形』ことマスク・ドールを作った。元々が人形を作る家だったみたいでね。彼女もそこそこの腕の持ち主だったというわ」

「で? 何で造った人形が、ああなった?」

「どうも彼女は魔女だったらしいわ。マスク・ドールは力を得て、動き出したの。当時は今と同じように、顔剥ぎ殺人事件が多発したらしいわね」

「魔女…」

マカは口の中で呟き、険しい顔をした。

「当時わたしは用があって、イギリスに住んでたの。そこでマスク・ドールのことを知ってね。討伐に力を貸したのよ」
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