奈良の都の妖しい話

驚きの連続

翌朝・・・

「黒矢ー・・・。」

「どうしましたか?」

「眠い・・・。」

「そうでしょうね。一睡もせずに歩いたのですから。」

「そろそろ休まない?」

「だめです。もう少し進まないと見つかりますよ。」

「・・・分かった。」

四半時後・・・

「まだ~?」

「まだですね。」

さらに四半時後・・・

「もう、疲れたんだけど・・・。」

「もう少しです。」

半時後・・・

「黒矢~・・・もう、あ、歩けないんだけど・・・。」

「あー・・・そうでしょうね。ですが、ここで立ち止まるわけには・・・。」

「何言ってるの!私たち寝ていないだけではなく、朝餉も食べていないのよ!」

「そうでしたね・・・。仕方ない、出来ればこの方法だけは使いたくなかったのだが・・・」

「何ぶつぶつ言ってるの・・・?」

「姫・・・目をつぶって、百まで数えてください。」

「え・・・?」

「数え終わるまで、決して目を開けないように。」

「わ、分かったわ・・・?」
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