カクテル・ドリーム〜それぞれの道〜

◇悲しい事件

◇◇◇◇◇


「もう3年前になるんだな‥。」


サトシくんは私が落としそうになったグラスを置いて話し始めた。


「俺がCOCOROで働き始めた頃、康介さんよりも二歳年上の由依さんって店長がいてさ。」


「このオレンジ・ブロッサムみたいにサバサバした人でさ、男も女も憧れる人で。」


「もちろんバーテンダーとしての才能も技術もピカイチで‥本当にすごい人だった。」


私は黙って話を聞いていたけど、サトシくんの話が時々過去形になるのがとても気になっていた。


「誰からみても康介さんとはお似合いのカップルだったな。二人で働いたお金を貯めてアメリカにBARを出すんだって張り切ってた。」


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