ある日モテ期がやってきた!!~愛されすぎてどうしよう~
9 キミと……――。


‐9‐



犬飼くんの住む部屋に初めて入った時以上に、今、緊張している……。

だけど、そんな私の緊張を知らない犬飼くんは、ためらうことなく部屋のドアを開けた。




「お、来たか!!」


いつも通り元気いっぱいの顔で笑う青山と、私を見てにっこりと笑う啓介くん。

あぁ……啓介くんが、笑ってる。

私の大好きな微笑みを浮かべて、私を見てる。

たったそれだけなのに胸がジーンと熱くなって、止まっていた涙がまたポロポロと溢れ出す。


「おいおい、まだなーんにも話してないんだから、泣くのは早いだろ?」

「だ、だって……」

「あーもうっ!! 泣き止まないと俺がキスするぞ!!」

「それはイヤ」

「って、即答かよっ!!」


いつもと同じ青山とのやり取りに、泣きながら笑う。

それを見て、隣に居た犬飼くんも笑い、私を見つめる啓介くんも、また微笑んだ。




「結城さん」


スッと、啓介くんが手を伸ばす。

久しぶりに聞いた啓介くんの声はとても優しくて、また胸の奥が熱くなる。

啓介くんが好き。 それを再確認するには十分すぎるものだった。


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