ある日モテ期がやってきた!!~愛されすぎてどうしよう~
3 接近


‐3‐




学園祭2日目。

長い期間準備をしてきた学園祭が、今日で終わる。


昨日よりも一般のお客さんがかなり増えていて、どこも賑わっているけれど、私はそんな騒がしさなど微塵も感じない【 暗室 】に、朝からこもっていた。


「……暇だね」

「あぁ、暇だな」

「……僕は別に暇じゃないけど?」


私と青山、そして村雨くん。
私たち3人は、朝からずーっとここに居る。

犬飼くんは女の子たちと一緒に居るから、前日にメールで聞いた通り、暗室には現れなかった。


そして、「暇だ」とボヤいた私と青山はトランプをしていて、村雨くんは今日3冊目となる小説を読んでいる。

これが、暇かどうかの感じ方の差。


「二人でトランプってつまんねぇー……結城の手、全部わかる」

「私も、青山の絵柄が全部わかる……」


どんなゲームをしても、二人じゃまったく張り合いがなかった。

せっかく3人居るんだから、村雨くんも一緒にやろう!!と誘ったけど、今読んでる小説はシリーズもので、かなりいい場面らしい。


だから邪魔しないようにと二人でトランプしてたけど、やっぱり二人はつまらない……。


「あーもうダメだ、息苦しい!! 結城、外行こう!!」


と、私に声をかけた青山だったけど、ガシッと掴んだ腕は、村雨くんのものだった。


「お前もだよ、啓介」

「え……謎解きのいい場面なのに」

「いいから来いって!! たまには俺に付き合え!!」


と言うことで、私たちは3人で暗室を出た。


「密室は2時間が限界!! 体育館行くぞー!!」


凄くイヤそうな顔してる村雨くんを、青山はどんどん引っ張っていく。

そして到着した体育館では、昨日に引き続き、今日もカラオケ大会をやっている。
点数の低い人が優勝の、アレだ。


「よし、今日こそ優勝!! 啓介!! お前も歌え!!」


と、なぜか村雨くんも出場することに……。


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