二 億 円




笑ってしまいたかった。



けれど、耐えた。



痛みが全身を駆け抜け、意識を失いそうだったけれど



彌生様の涙が傷跡に染みる度に



笑いが込み上げてきた。




「──ふふっ…──」



「何が可笑しい?ひなた、お前は何が可笑しくて笑う?」



何が…──?



それすら可笑しく感じた。



「ふふ、ふふふ…──っ」





自分が、壊れた気がした




「黙りなさい。──黙れ、黙れ黙れ!!」



私が笑えば、彌生様は狂ったように暴力を奮う


痛みは次々と遅いかかってくる

けれど、私のことが愛しいのに手に入らない。と嘆く彌生様の姿が可笑しくて






もっと、もっと苦しめばいい。と思えば思うほど、自然と笑みが零れ落ちる。




「人形のくせにっ…私を、蔑むのか?お前は私の人形なんだっ…御主人様を見下すな!!」



いつもの彌生様らしくない言葉。態度。



そうなってしまうほど、貴方は私が欲しい。




狂う彌生様を見て、痛みを受けて、私は最高の快楽に感じた。




< 129 / 156 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop