二 億 円


「なっ……に…。何、言って…。」

予想した通りの反応。さぞや悲しいでしょうね。


最愛の彼はもういないなんて。家族だけでなく、私にも捨てられ、愛した彼さえいなくなってしまうなんて。



「貴女の荷物は、全て日向に処分させましょう。」


「待って…!!颯人が、死んだ…?それを、知っていて解雇するっていうの?」


みるみるうちに怒りの表情に変わっていく。


「彌生っ…!」




「契約内容をお忘れですか?あの日、レストランで言いましたよね。」



ひなたが手に入るまで、
メイドとして屋敷で働くこと。
私の命令には逆らわないこと。
そして、私を愛さないこと。


契約違反を犯したら、直ちに解雇する。





「彌生!私を捨てないで…彌生、お願いだから「邪魔なんです。刹那。貴女が邪魔で仕方がない。」



ひなたが手に入った。もう、僕の欲を処理できるのはひなたしかいない。







「さっさと死んだ奴の元へ逝くがいい。消えろ。」
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