夢の時間
5.水泳部 二度目の夏
5.水泳部 二度目の夏

月日はあっという間に過ぎ、恵理子が水泳を初めて二度目の夏が近づいていた

冬も練習に励んだ恵理子はタイムも伸び、気付けばいつのまにか中体連で優勝を競う選手になっていた

そんな中、定期健診にきた恵理子の胸の音を聞く平田の手が止まった

「平田Dr.??・・・音そんなに悪い?」
「んっ・・・」

これまでも何度か音が悪くなったことはあった

でもその時とは違う平田の空気を感じる

服の裾から入れていた手を抜き、聴診器を机に置きながら平田は眉間に皺を寄せた

調子がホントに良くない時、平田は決まってこんな顔をする

恵理子は行儀よく揃えた膝を掴んで、泣きそうになるのをこらえた

「少し雑音が聞こえる」
「・・・」

「恵理子ちゃん、ちょっと水泳頑張りすぎたかな?!」

今までの調子の悪さとは違う

水泳を続けられないと言われているのが分かる

泣きそうな恵理子を察して平田は頭を撫でる

その手がグラつき始めた恵理子の心に留めをさした

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